形式的に6つの場合のうちいずれかを年齢制限が必要な理由として挙げておけば、法的な問題はクリアされてしまう。 要は、まず答えをみせてあげた上で問題集を解けと言っているのと同じ状況だ。
これでは法規制として意味がない、美しくない、と言わざるを得ないだろう。 「理由説明義務」というせっかくのすぐれた法的アプローチが、現在は全くの「死に体」になってしまっているというわけだ。
私としては、やはり義務規定化が少し早すぎたのではないかと考えている。 そこまで一気に進むのではなく、まずは高年齢煮雇用安定法の定める「年齢上限に関する理由説明義務」を中心とした政策を講じるべきであった。
現在の雇用対策法10条はもちろん、改正前の旧7条の努力義務規定も本来はまだ必要なかったのかもしれない。 政治的なプロセスを全く無視して敢えて言えば、もっとも理想的な姿は、今後の法改正で雇用対策法10条を廃止し、高年齢煮雇用安定法18条の2のみが存在する状態にすることであろう。
そうすることで、まず企業自身に、その職場において、その会社の人事管理において「年齢」という基準がどういう意味を持つのか、を考えてもらうことができる。 最初から解答のついた選択問題を配るのではなく、正しい答えが一つではない、いやそもそもなにが正しいかもはっきりしていない論述問題を出題するのだ。
そこで頭をひねってもらうのだ。 その方が法律の体系として美しいし、いやそれよりなにより、実際の職場でもプラスの効果が生まれるはずだ。
ただ禁止規定をつくって、ほらエイジフリーでしょ、再チャレンジして下さい、と自己満足していても何の意味もない。 また、このアプローチであれば、まだまだ年齢を基準に物ごとが動いている日本社会において(=エイジフリーでない)募集・採用時に関しては年齢差別を禁止する(=エイジフリーである)でも定年制やそれに関連する仕組みは維持してよい(=エイジフリーでない)という、なんだかややこしい、エイジフリーなんだかそうじゃないんだかよくわからない規制の辻棲合わせに労力をかける必要もない。

いっぺんできてしまった法律を廃止して元に戻すというのは、いかにも一歩後退という感じであまり力ッコよくないのかもしれない。

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